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2010年5月 5日 (水)

新しい家族

もうこんな年なんだから、「新しい家族」と言えば、
普通は私の子供だったりするわけだが、そんなこと
あるはずもなく。

ゴールデンウィーク初日の夕方、家から1時間半もかけて、
私はある東京郊外の駅にたどり着いた。

きょろきょろしていると、「行くぞ」と声をかけられる。
父だ。
どうやら、私がたどり着く1時間前には駅にいて、
変な宗教の人に話しかけられたり、交番での「被害者」と
警官の話を盗み聞きしていたりしたらしい。

新しい家族が、待ち遠しくて仕方ないのである。

でも、父はウキウキしながらも、あくまでも行き先を
語る気はないらしい。
行き先を告げないまま、車は出発する。

とはいえ、実は私は行き先を知っている。
姉妹ネットワークをなめるなよ。

いつも通り、カーナビで設定してあるにも関わらず、
迷いながら店に到着。
その店は、国道を曲がって細い道に入ったところから、さらに
細い道に入ったところにひっそりとあった。

車を降りて店に向かう。
と、そこには、自動ドアがしまらないように押さえながら立つ、
やたら人相の悪いおじさんが1人。

これはあれだ。
よくテレビに出てくる、取材してはいけない店の
料理人
の目つきだ。

ギロッとこちらをにらんで、その料理人は私たちに
いくつか質問をしてくる。
ちなみに、まだうちらは自動ドアの外である。

「HPを見て店に来た?」
「はい。」
「じゃあ注意事項等は心得ている?」
「はい。」
「今日は買ったら持って帰れる?」
「はい。」
「最初に抱くウサギはもう決めている?」
「はい。」

本能的に、ここは言い淀んだら負けのような
気がして、私はさらっとしかHP見てなかったけども、
とにかく私は即座に答えた。

すると、その料理人はすっと自動ドアから離れて、
店に入ることができた。

第1関門は突破、らしい。

中には、あの怖い料理人からは想像もできないほど
かわいらしいウサギがひしめき合っていた。

「おい!このお客さんウサギ決まってるから、ウサギ出して!」

と、その料理人の息子的な少年なんだか青年なんだか、
とにかく、童顔に生えたてのひげを生やしたようなよくわからん
やつがうちらを奥に案内してくれ、うちらに尋ねる。

「どっちが抱きますか?」

新しい家族、とは言っても、そいつの住所は実家の
住所になるのであって、私と同居はしないので、私が
抱っこしても仕方ないだろう。
と思って、父のほうを見るのだが、父は知らん顔。

おい。お前が飼うんだろうに。

と、私は父のほうを指して、「あ。こちらが」と
言おうとしたところ、ちょうど父が答えた。

「あ、この子が。」

・・・私かよ。

ウサギを抱っこする、と言っても、膝の上に乗っけてみる
だけだけど、そうすることで、ウサギの性格とか、飼い主との
相性とか、そういうのが分かるようなのだ。

というわけで、飼い主でもないのに、ウサギとの相性を
確認することになってしまった私の膝の上に、ウサギが
乗っかる。

お尻を押さえて、頭をなでてみる。
急に小屋から出されて知らない女の膝に乗っけられて
緊張しているウサギは若干フルフル震えたまんま、
動かない。
まぁ当たり前か。

父は、ウサギの顔を見て、なんだかすごく満足した
ようで、5分もするともう「これにしよう」と決めた様子。

なにしろ、「前のウサギにそっくり」らしいのだ。

前のウサギ、というのは、5日で死んでしまった
2代目ウサギちゃん。

2代目ウサギちゃんは生まれて1ケ月で
死んでしまった。
今抱っこしているウサギは生後6週間なので、
大きさこそ前のウサギとは違うが顔と模様が
そっくりなのだそうな。

そこから始まる、前のウサギトーク。

「水飲まなかったんですよねー、1回も」
と父が言いだすと、どこからかやってくる
料理人。

「水飲まないからレタスあげたんですけど、下痢に
なっちゃって」

「それは全然意味わかんないね、水飲まないから
レタスあげるなんて」

厳しい一言。

「あと、寒かったので、電気シートもひいてあげたんですけどね」
「あー、それはもう、みんなで殺しにかかってるような
もんだね」

ウサギは、消化の仕方が人間と違って、細菌で発酵させる
方式なのだそうで、だから電気シートとかでお腹温めて
しまうと、胃の中の細菌バランスが狂ってしまうらしく、
だから、体を直接あっためるのは厳禁らしい。

でも、ウサギ用電気シートって、ちゃんとペットショップで
売ってる代物なのだけど。

「小屋はすのこでいいですか?」
「すのこ?すのこで飼うんなら、ウサギは売れないね」
「え!じゃ、じゃあこの金網のやつ、買います。。。」

とまぁこんな調子で、ウサギ経験者都は思えないほど、
うちら親子はこの頑固親子にコテンパンに怒られた。

その頃、私はウサギから手を離す許可を与えられ、
お尻から手を離すと、ウサギが膝の上でひょいひょい
動き始める。

隣でほかの人に抱っこされているウサギは
手を離してもびくともしないところから比べると、
非常にリラックスしているように見える。

「もう1羽、だっこしてみますか?」

と息子に聞かれるが、父はもうすっかり、このウサギに
決めたようで

「いいですよこのウサギで」

それでも、もう1羽抱っこすることによって、他の
ウサギと比較ができるので、抱っこすべきだ、という
息子の意見にしぶしぶ従い、私がもう1羽抱くことにする。

来店して30分。
手持無沙汰の父は、他のウサギを見て回って
指突っ込んで遊んだりしている。

結局、もう1羽抱いてみたものの、結局はやっぱり
前のウサギに似ているということで、1羽目のウサギを
買うことにすると、今度は「おかみさん」の説明が
始まる。

ウサギへの餌のあげかたをレクチャーし、それから
「1週間は小屋から出さずに様子を見ること」など、
基本的なウサギの飼い方をレクチャー。

途中、餌の補充を求める他の飼い主から電話が
かかってきたり、1ケ月検診にやってくる人への対応などで
しょっちゅううちらへの説明は中断し、そもそも注意事項が
やたら多く、これらの説明に軽く1時間。

でもこれも、きちんと聞かないと、
「飼い主として不相応」という烙印を
押されそうな気がして、私は愛想よく、「はい」
「はい」と答える。

本当のところの飼い主であるところの父は、相変わらず
他のウサギにちょっかいをだして回っているから、ここで
私がぼろ出そうもんなら、このウサギを連れて帰ることは
ままならないだろう。

その証拠に、さっきウサギを買いにやってきた親子連れは、
「子供育てるのとウサギ育てるのは
同時にはできない」
と言われて、あえなく
リタイヤしてしまっている。

そんなこんなで、夕方に店に行ったのに、ウサギを連れて
店から出たのは、もう宵の口。
2時間近くもお小言を言われていた計算になる。

「あーあ、ながかったなー」

と、自分は話なんか聞いてもないくせに、疲れた様子を
見せ、父は車を発進させる。
キャリーバッグのウサギは、私の膝の上だ。

それにしても、店から家まで、高速で4時間弱。

店のおかみさんは緊張で、水なんかあげても飲まない、というが、
4時間も水飲まないのは非常に心配なので、SAでの休憩のときに、
軽く水をウサギにあげてみる。

飲まない。

水なんてないかのように、ウサギは鼻をひくひくさせ、
キャリーの中を歩き回り、軽く水をこぼして、そこで私は
一回あきらめた。

再び発進する車。
ウサギは再び私の膝の上で、キャリーの上から鼻を
出して、外の様子をうかがっている。

それから1時間。
再びSAに入って、もう1回水をやってみる。
この前のウサギが水飲まなくて死んでしまったこともあり、
私も父も水にはとっても神経質になっている。

またもや鼻をひくひくさせているウサギ。
また飲まないかなー、と私は少しあきらめモード。
父も外で煙草を吸い始めた、その時。

ウサギが、ペロッと水をなめた。

おお!飲んだ!と私は叫び、父は車に駆け込んできて、
このときウサギは、うちの家族になった。

それから5日。
1週間は小屋から出すな、と言われた頑固親父の
教えはすっかり守られることなく、ウサギはここ2日くらい、
餌を変えていれば必ず小屋からはい出てきて、人の
顔見えれば「だせやごるぁ」と小屋をがじがじかじり、
5日にして、我が家のボスになった。

一方、私は今日からまた一人。
早いとこ、夏休みになってまたウサギと戯れたい。。。

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