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2010年4月30日 (金)

父と3○の…

父と3、とくれば、父と3人の娘たち、と来るのが
通例であるが、今日は3人ではなく、3羽、の話。

連休前の水曜日。
早めに1次会を切り上げた私たちは、どうやって
おじちゃんたちをまいてカラオケに行くか画策していた。

と、何気なく取り上げた携帯に着歴。

珍しく、父からの電話である。

気になったのでかけなおしても携帯には出ないので、
実家にかけると、またもや珍しく、父が自分で電話をとった。
どうやらご機嫌らしい。

「いつ帰ってくんの?」と父。
「土曜日、だけども」と私。

「じゃあ○○集合ね!」と、父は、突然、とある
東京の郊外の駅を指定した。

は?なんでそんなところなの?

と、怪訝そうに聞くが、父は
「ちょっとね!ちょっと用事があって!」
と、ご機嫌だけど用件は明かさない。

まぁ別に、それで私の新幹線代がただになるのなら、
と、了承して電話を切るが、どうも気持ち悪い。

どうしても気になった私は、次の日実家に電話してみる。
父の電話にかけなおしなら父が出るかもしれないが、
こっちから何の脈絡もなく電話して、父が出るということは
まずないので、父以外の誰かに事情を聞くのは簡単だ。

電話に出たのは、妹だった。
家には誰もおらず、退屈していた妹は、
こちらがこの後出かけるというにも関わらず、
必要以上にべらべらしゃべってくれた。

「お父ちゃん、なんで東京来るか知ってる?」
「お姉ちゃん聞いてないの?」

…聞いてないよ。

「ウサギだよ」

―――――――話は、約1ケ月前にさかのぼる。

土曜の朝、妹から一通のメール。

飼い始めてから3年になるウサギが、その日の朝に
なくなったというのだ。

思えば、全然家族になつかなかったウサギ。
自尊心が強く、ときどきヒステリーで、家族を困らせて
ばかりではあったが、それでも気が向けば家族の後を
ついて回ったり、なでてもらいにやってきたり、その
ツンデレっぷりがかわいらしかった。

それから1週間後。
父の誕生日だったその日、引っ越しのあとで金もなく、
プレゼントも買ってない私は、せめてもの思いで父に
電話してやった。

それが、である。

「何かほしいものとかあるの?」と聞いた私に、
「この前ウサギが死んじゃってさぁ、」と全然違う
話題を返してくる父。

それは知ってる、と答えた私だが、どうも話が
噛みあわない。

かわいかったんだぞぉ、
おれの手の上乗ってきたりさ、

と父は言うが、それが全く私の思い出と重ならないのだ。
あのウサギは、父の煙草の匂いが嫌いで、父が近付くと
大変な勢いで逃げて行ったものだ。

しかも、もっとも噛みあわないのは、
「でもさぁ、かわいそうに、4日で
死んじゃってさぁ」

いやいや、3年生きたでしょう。
と、聞き返す私に、父はやっとちゃんと説明した。

昨日の妹の説明と合わせて説明すると、
こんな感じだ。

ウサギ(あ、分かりにくいので、ここからは初代ウサギ
しよう)
がなくなったその日、父は大急ぎで新しいウサギを
手に入れるべく、妹がウサギを買ってきたペットショップに
向かったが、いけてるウサギがおらず、その日は仕方なく、
家族4人で動物園のウサギを見て帰ってきたのだそうな。

それでもあきらめきれない父は、次の日、ウサギを求めて
隣の県まで赴き、次のウサギ2代目ウサギとしよう)を買ってきた。

このウサギが、父が電話で言っていたウサギちゃんである。

初代ウサギは、ネザーランドドワーフ、という種類の、
耳がピンとたった、飼育されるウサギの中では最も
小さいタイプのウサギちゃんであった。

ピーターラビットのモデルでもあるこのウサギちゃんは、
小さくて飼いやすいんだけども、あまり性格はよろしく
ないらしく、気が強くてプライドが高く、しかも、うちにやってきたのが
生後3~4カ月くらいの思春期で、もうなかなか人になつかない
時期であったため、かなりひねくれた大人になってしまったのだった。

それに比べ、2代目ウサギちゃんは、ホーランドロップという
種類。
ロップ、という名のつくウサギでは、イヤーロップというウサギが
有名であるが、これはぶっちゃけでかすぎて飼いづらいと思われる。
ホーランドロップは、ネザーランドよりは少し大きいけど、
イヤーロップより小さく、比較的飼いやすい。

そして何より、性格がよく、だから父も簡単にウサギに
受け入れてもらえたのだそうな。
4月と言えば、まだ生まれたてで、誰がどんなだか
分からないということもあっただろう。

生まれたてだからかわいい、だけど、生まれたてってことは、
離乳したばかりだから、免疫がきれて病気になりやすい。
そして病気になるともう治らない、そういう微妙な時期に
あの不安定な天気。

まぁ無理もなかっただろう。
亡くなる前日、病院に駆け込んでも、医者は、
もうこの時期に病気になったら、治らないよ、と
つめたい反応だったらしい。

私が電話をしたのは、そんなことがあってから、
1週間後のことだったから、父の頭はもうウサギで
いっぱいだったのだった。

「でね、お父ちゃん2代目ウサギとおんなじウサギがほしくって
それからずーっとネットでウサギ調べててね、名古屋と東京に
いいウサギ屋さんがあるんだって言うんだよ」

と妹。
ウサギ屋さんって、昔からあるジャンル?

あ。名古屋。だから名古屋。

あのとき、父は電話で言っていたのだ。
「ゴールデンウィークは、名古屋行くから!名古屋!
日帰りで!」

日帰りで名古屋はムリだろう、と散々私が反対したから、
だから東京になったのか。
言えよ父。

「でね、お父ちゃん、一人でウサギ買いに行くと、
帰りウサギ心配で運転できないから、だから誰かに
ついてきてほしいんだって」

あ。それで私。
誰かとずーっと一緒というのが、父は嫌いなので、
帰りだけ私と一緒くらいがちょうどよいのかもしれない。

というわけで、父は明日、車を飛ばして
日帰りで東京へやってくる。

そして、おそらくは3羽目のウサギちゃんと、
2人と1羽で帰ることになるのだ。

父のこと散々バカにしながら、我が家の女性陣も
今頃ひどくウキウキしていることだろう。
もちろん、私も。

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