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2010年3月

2010年3月27日 (土)

アラサー的カーリングのすすめ その2

その後、10分ほど休憩、と言われ、痛いお尻を
すりすりしながら時計をみると、まだレッスン
始めてから40分しかたっていない。

普段伸ばさないところをいろいろと伸ばし、
また、右と左がえらくアンバランスなので、
もうすでにいろんな所が痛いアラサー3人娘。

アラサーとはいえ、まだ若いので、その日のうちに
痛みは始まるのだ。
(強がり)

10分たっておばちゃんせんせーが戻ってきて、
レッスン再開。

まずは、レーンの右側と左側に分かれて、短距離で
石を投げる練習。

まっすぐ投げるとどっちに曲がって行っちゃうか分からないので、
あらかじめカーブつける方向を定めるため、自分で若干
石に回転をかけるのがポイントなんだそうな。

というわけで

・ハンドルを10時くらいのところに持ってきてちょっと回して
12時になったときに離す、アウトターン
・ハンドルを2時に持ってきて、回して同じく12時になった時に
離す、インターン

というのを習ったところで、さぁ石を投げる練習。

おばちゃんせんせ―いわく、「まぁモップ使って蹴る練習したのより
全然楽だから」

ほんとかねぇ、とにわかに人の言うことを鵜呑みに
できないのは、うちらがアラサーであり、人生の酸いも
甘いも身につけすぎちゃったからに違いない。

ああせつない、と思いながら、とにもかくにも石を投げてみる。

ボーリングでは、右手にボール持つだけだとバランスが
悪いので、左手で支えて、フィニッシュの時に右が前に来て
左が後ろに来るようにする。

カーリングも、やっぱりバランスが悪いとうまいこといかないので、
石を持つ手と逆の腕の脇にモップを挟み込み、柄を握って、
それを氷につけて、杖のようにバランスを保つ。

要領はモップを両手に持ってた時と一緒。

1.で石と左足を前に出して、
2.で石と左足を後ろに戻して、
3.で石と左足を前に出してから、石に引っ張られるように、
右足を蹴る!

そんで、すぐに石を離しちゃうと、ゴールまでの距離が
遠いから、コントロールが利きづらくなってしまう。
だから、石を持った状態をできるだけ長く維持して、
ゴールにできる限り近いところで石を離すほうがよい。

という理屈は頭の中では理解できるのだが、
これがなかなか。

右足は蹴った状態だから、後ろにグイーンと伸びていて、
左足で氷の上を滑り、体全体は石に引っ張られている、
というなんともアンバランスな状態をそんな続けられるわけも
なく、ってかその前にきちんと蹴ることもままならず、
アラサーにもなって、こらえしょうもなく、よろよろと踏み切って
すぐに石を離してしまい、だから全然ゴールにたどり着く前に
石が止まってしまう。

でも、私は途中で気付いた。

アラサーにもなって、ちゃんと踏み切れないなんて、
思い切りが足りなすぎ。
そして、同じ姿勢を長時間保てないなんて、こらえ症が
なさすぎ
なのではないかと。

ほら、しっかりしろ、アラサー!

と気合を入れ、えい!と右足を踏み切ると、石に引っ張られる
ように、ぐいぐいと体は進み、適度なタイミングで、石を若干
回転させる余裕まで出てきた。

そして、石は吸い込まれるように、ゴールの丸の中へ。

おおお!できる、私。
やればできるじゃない!

と、この時点で膝には大きなあざができてしまっている
わけだが、オーバーズボン(というかウィンブレ)をはいて
いるので、そんなこと、やってるときには全然気づかないのだった。

と、石が上手に投げられるようになってきたところで、
いよいよゲームである。

といっても、うちらはアラサー3人+おばちゃんせんせーの
4人しかいないので、2人づつ2チームに分けることにする。

1チーム2人なので、ゴールのところで指示を出す人と、
石を投げる人を、2投づつ交代する。
どうせできないので(?)磨くのは今日はなし。

ウォー、とか、ヤー、とか、言いたかったのになぁ。

とかぶつぶつ言いながら(ミーハーだから)、友達が1投目
やるというので、私はとりあえずゴールのところにスタンバイ。

でも、ねぇ。
なかなかこれが、初心者が丸の中に石を止めるというのが
難しいのだよ。

飛ばないだろう、と思って、えい!とやるとオーバーしちゃって
使えない石になっちゃうし、ゆるゆるとやると、ゴールのところから
すーっと石のところにかけてってごしごしやっても全く駄目なくらい
手前で止まっちゃうし。

1ゲーム目。
私の投げた石は、あろうことか、手前のほうに止まっていた
石に当たってしまい、当たられた石が奥に入って丸の中に
収まる、という大失敗を犯し、見事敗退。

2ゲーム目は、1ゲーム目でゴールだったところが、スタートに
なる。

このころになると、結構上手に踏切りをできるようになってきて
おり、あんまり磨かなくてもゴールまですんなり石が運べるように
なってきた。

それは、5投目か6投目の私の番だっただろうか。

なんとなく、うちらが不利で、中心あたりに敵の石がたまってきていた。

そこで思い出したオリンピック。

そういや、ダブルテイクアウト、という言葉が
なかっただろうか。

手前にあるあいつをカン、とやって横にはじき出し、
その勢いで奥にあるあいつをカンとやって丸から
外せないだろうか、と私はかなり背伸びしたことを
考えていた。

でも、アラサーは頭脳戦だもんな、と、
よくわからないことを考えながら、とにもかくにも私は
それを狙って、手前の敵石をめがけて投げてみる。

お。
おお!

ゴール前から聞こえてくる声援とどよめき。

石を投げた状態のまま、氷の上に座って事の
顛末を見守る私。

カン!

とまずは手前の石に狙い通り石があたって。

その勢いで、私の石は左に曲がり、敵の石は右側に
弾き飛ばされる。

よぉし。半分は成功だ。

と、若干強すぎる私の石は、ぐんぐんと奥に進む。

あ。でかいかなちょっと。

そのとき。

カン!

お。奥の石にも当たった!

そして、奥の石は弾き飛ばされて丸の外へ。
私の石は奥の石にちょっと戻されてうまいこと
丸の中へ。

ね、狙い通り。
す、すげぇな私。
さすが、アラサーだな。

結局、最後におばちゃんせんせーにその石は
弾き飛ばされて、うちらのチームは負けるわけだけども、
頭と体がうまく連動する、という感覚が分かって、
なんだかすごく心地よかった。

それにしても、レッスンは2時間2,000円/人だったけども、
単純に勝手にカーリングやるだけなら、200円/人なのだ。
そんでもって、ボーリングと違って、何ゲームやろうとも
200円は200円なので、そう考えるとボーリングより全然
安いし面白い。

20代の頃みたいに、勢いだけではやっていけなくなった
アラサーの皆さん、アラサーは頭脳戦ですよ。
頭を鍛え、そしてある程度体力も維持するために、
カーリング、やってみてはいかがでしょう。

そんな私、いよいよ明日で29歳、マジでアラサーです。

2010年3月22日 (月)

アラサー的カーリングのすすめ その1

最高気温17℃、という、軽井沢としては異例の
小春日和のその夜は、夜になっても暖かく、
私たちはコートも羽織らず、ジャージ姿でタクシーに
乗り込んだ。

おされな軽井沢で、ジャージはちょっと抵抗が
あったのだけども仕方ない。

だって、これからカーリング体験教室なんだから。

ホテルから車で10分。

グルメロード、なるおされレストラン街(いや、街と
言うほどのものじゃない)を超えたところに、カーリング
リンク
はあった。

なんでカーリングかって?
そんな分かり切ったこと聞いちゃいます?

そりゃあもちろん、オリンピックでしょう。
コンビニに買い物行く途中、エスカレータから見える大きな
ビジョンでちょうどクリスタルジャパンの試合を放映していて、
「カーリング楽しそうだよねー」「カーリングってどこかでできるの
かなぁ」
「確か軽井沢にはあったような」「じゃあ軽井沢旅行行って
カーリングやってみようよ」

って、まぁこんな感じだ。

そうしてあっという間に短絡的アラサー女子が集まって、
あれよあれよと言う間に日程とホテルが決まって、私は
あわあわとスピードになんとかついて行きながらかろうじて
ジモティの面目を保つべく、新幹線を予約したのだった。

本来は昼間にやろうと思っていたカーリング。

しかしながら、予約を取ろうとしたら、昼間はカーリングの
大会がやっているらしく、レッスン、というか一般開放が
夜だけで、だから私たちは、かわいいペンションのうまそうな
夕食をあきらめて、ママさんバレーみたいな時間に
ママさん、じゃない、アラサーカーリングと相成ったのだ。

はてさて、カーリングレッスンに申し込んでいたのは、私たち
だけらしく、夜のリンクには私たち3人とコーチのおばちゃん
のみ。

誰もいないリンクで、カーリング教室は始まった。

Cimg0903

この時の私たちが、なんとアマちゃんだったのだろうと、
あとから気付くのはこれからすぐのことである。

だって、石滑らして磨けばいいんでしょ?と私は
高をくくっていた。

しかしながら、最初にやらされたこと、それは。

氷の上を歩く、という行為だった。

別に、スケート靴をはいているわけじゃない。
はいているのは普通の運動靴なのだが、この上に、
左足だけゴムの靴底みたいなのを履く。

すると、左足だけやたら滑るようになるのだ。

石を投げるときに、スーッと滑っているクリスタルな
方々をみたことはみんなあると思うのだが、あの
スーッと滑っているのが、この左足のゴム底なのだ。

というわけで、片方の足はやたら滑るけど、
もう一方は全然滑らねぇ、という、アンバランスな
状態が発生し、片方でスーッと滑りながら進んでいく、
という動作が、カーリングでは必須となるわけで。

先生であるところのおばちゃんは、ほとんど右足を
使わずに、すい―、すいーと進んでゆき、私たちは
そのあとを追いかけるわけだが、左足に体重かけると
スーッと、左足がどんどん外に行ってしまい、初心者の
スキーみたいな大変な状態になってしまう。
(はの字がうまくできなくて股パッカー、っていう、あの)

それが怖いから、左足をちょっと進めると右足で
勝手にブレーキをかけてしまって、結果、そんな
速く進まない。

いや、進むとか進まないとかじゃない。

足に変な負担がかかって、足がつりそうだ。

いったい!足いったい!と言いながらもやっと
リンクを1周して帰ってくると、次は、蹴る練習

まだ石は渡されない。

石の代わりに、モップを持って、クラウチングスタート
みたいな恰好で、踏切り番を思いっきり、蹴る。

1、で、モップと滑る左足を前にだして、
2、で、モップと滑る左足を後ろに戻して、
3、で、モップを前に出した後に、右足を蹴って、前に出る。

聞く限りそんな難しいことではないように思われるのだが、
右足は後ろのほうに伸ばして、左足は膝から曲がった状態で、
かつ背筋は伸ばして前を向く。
そんなアンバランスな状態を、結構な時間キープしないといけない。

そんでも、勢いよく、とおばちゃん先生が言うから、私は
恐怖をこらえて、えいっ!と言わんばかりに右足を
踏み切った。

ら、、、

バランスが悪かったのだろう。

ものの見事に、そのまんま左側に体が傾いて、ごつっと
左側のお尻が氷に激突した。

そういえば、私、スキー派なので、分かってなかったようだ。
氷がどんだけ転ぶと痛いものかを。
いや、頭じゃわかってるんだけど、ほとんど体感してないから、
こけた時のショックが思いのほかでかい。

「だ、大丈夫です、大丈夫・・・」と口では言うけども、
自分でもわかるくらい、唇がひくひく言ってる。

だって、肉離れしてるんじゃないかってくらい痛いんだもん。。

そんな痛いお尻をさすりながら、次回やっと、
石を投げる練習へ。

2010年3月13日 (土)

テレビっ子たちのお引っ越しスペクタクル その2

さて、父に初録画の権利を譲渡し、家に
戻ると、母は、もうほとんど家の掃除を終わらせ、
私たちを待っていた。

残りのごみを処分している母を再び家に残し、
私と父は、雨の中買い物に出る。

徒歩で向かった先は、旧家の近くの生活用品屋さん。

もちろん洗濯機の下に置くものを探しに行くのだ。
もう頭の中は、録画譲渡と洗濯機でいっぱいである。

煉瓦、と引っ越しのおじちゃんが言っていたのに、
父はテレビ見ていて話聞いてなかったのだろう、
一生懸命、木の板を探している。
排水管に当たらないような、丸い木の板。
でも、なかなかいけてるサイズの木の板がないのだった。
最終的には、のこぎりで切らなきゃ、という話まで
店員さんと父がしていて、私はさすがに焦った。
この東京大都会のどこで、のこぎり振り回すというのだ。

煉瓦だって、おじちゃんが言ってたよ、と後ろから
私が口をはさむと、やっと父は気付いた。
確かに、煉瓦がいいかもしれない。

しかしながら、このお店には煉瓦的なものがなく、
いったん家へ。

そして、すっかりかたづいた家に寮長さんを呼び出し、
点検をしてもらい、鍵を返して家を明け渡す。

あっという間だ。

旧家の裏のかっぱ寿司で、最後のランチをして、
本格的に新居に向かう。

が、その前に洗濯機。

もう1つの生活用品店にもやっぱり煉瓦は売ってなくて、
だけど私はいけてるものを見つけた。と思った。

洗濯機の音を吸収するための、洗濯機の下に置く
小さい台を発見したのだった。

About 4.5cm。

父の「7cm」に若干及ばないのが、父としては不満らしかった。

だから、その場にあったすのこの小さいやつとか、
ゴムのちょっとした板も購入し、7cmの条件を満たした
私は、問題が解決したような気になって、新居に
たどり着いたのだった。

新居につくと、私と母は直洗濯機の前に集合したというのに、
父がいない。。。

と思ってリビング開けるとやっぱりだ。

そこには、将棋を再生している父がいた。

どうやって女2人で洗濯機設置しろというのだ。
力仕事くらい、父がやらなくてどうするんだ。

とか思いつつも、とりあえず台を設置してみる。
すのこ敷いて、ゴム台をのっけ、、、

あ。

すのこの時点で、トラブル。
すのこ乗っけようとすると、排水管にすのこが
引っかかってしまうのだった。

おとうちゃんおとうちゃん!

将棋を途中であきらめて、洗濯機の前に父も集合し、
洗濯機設置の仕事は父に引きつがれ、洗濯機の前に
3人もいても非効率的なので、私は段ボール開梱の
仕事を始める。

と、ここから、父と母の夫婦喧嘩が始まった。

すのこをあきらめ、ちょっと高さは足りないかもしれないが、
と言いながら、母が洗濯機の台を下に敷き、父が上に
置く、という手法をとったのだろうが、場所が狭くてどうにも
うまいこといかないのだそうだ。

ちゃんとやれよ!とイライラする父と、
やってるわよ!とヒステリーを起こす母。

仕方なく洗濯機のところに戻る私。

と、私が戻ってきたのをいいことに、父はリビングで将棋の
続き。

そう。父はイライラすると、現実逃避をするのだ。
こういうときもやっぱりテレビに。

とりあえず、ぐねぐね曲がっているチューブをくるくるっと
正常な状態に直して、私はもう一度、父を呼びに行く。

夫婦喧嘩は犬も食わない、というが、こういうとき、
娘くらいは食ってやらなきゃいけないのだ。

(いや、その前に私の家の問題だからな)

今度は、私も付き添って洗濯機設置。
父は洗濯機を片手に、なにやら下のほうをごそごそいじくって
いるのだが、どうやら手がでかくて入りきらないのだそうな。

そんならそれで、入らないって言えばいいのに、今度は
意地になっている。

もぉ!と思いながらも、ここはひとつおとなになって、
「ちょっと見して」と私が手を入れると、意外に簡単に
洗濯機の下に手が入る。

なぁんだ。簡単じゃん。私のか弱い腕なら!

そこからは早かった。
ものの1分でチューブを元に戻すと、父は結構簡単に
洗濯機を設置し、洗濯機トラブル完了。
4.5cmの台であったけども、チューブが潰れると
言うことはなかった。

問題が解決し、私は開梱に戻り、父は将棋に戻る。

と、気付くと父は将棋見ながら、うとうとうとうと。
それでも何とか将棋は見終えた父は、うとうとのまま、
あろうことか、まだ私が一回も寝ていないベッドに
侵入し始める

ちょっとぉ!そのマットレス、結構高かったのよ!

なんて愚痴は聞いてはいないようで、まだシーツも
引いてないマットレスで、父はのんきにいびきをかき始めた。

またがっかり。の私。
まぁ父も疲れているので仕方ない、と
なんとか自分で自分を納得させて、開梱作業を
続ける。

そこから、1.5hも寝ただろうか。
テレビで何らかのアニメが始まり、父はその音で
むくっと起きる。

「鋼の錬金術師」。

ワンピースやドラゴンボールはまだ分かるが、
ここまで来ると、これは完全に私の範疇外である。

「これって面白いの?」

えー、と父。

「むちゃくちゃ面白いんだぞ。」

・・・あそですか。

茫然とテレビを見る父に、私は仕事を1つ分け与えた。

「ねぇ。電話の設定してくれる?」

新品のAmadanaの、超おされ固定電話。
開梱とか片づけとか、そういうことができない父には、
電化製品の設定くらいしか与えられる仕事がない。

と、「なにこれ、ほんとに電話?」とか言いながら
設定し終わった父は、突然どこかに電話し始める。

おいおい。新品電話もお父様が先に使われるのですか?

突っ込む間もなく、父が電話をかけた先。
それは実家だった。

通話テスト?と思って聞いていると、電話に出た
妹に、父がなにごとか命じている。

「あのさぁ、9時までに帰らなかったらさぁ、BSでさぁ、
イ・サンを録画しといてくれる?」

・・・またテレビの録画ですか。

と、最後までテレビの心配をしながら、父と母は、
田舎に帰ってゆく。

最後に、車のところまで行ってトランクを開けると、
そこには旧家で使っていた私のテーブル

あのー、これ、粗大ごみ出したはずなんですけど。

というと、父は何事もなかったように宣言する。

「あ。これおれの部屋で使うからさ」

父は、最後までちゃっかりしながら、大きな
パジェロを振り回して帰って行った。

まぁいろいろあったけども、あれから1週間。
今、すばらしく暮らしが快適です。

それもこれも全部父と母のおかげです。
ありがとう。

2010年3月10日 (水)

テレビっ子たちのお引っ越しスペクタクル その1

ついにやってきた引っ越し前日。
新居に前入りして新品家具を引き取り、
ネット環境とテレビだけはきっちりセットアップをし、
引っ越し前の家に戻った。

何しろテレビっ子の私。
テレビとネットのない生活は耐えられない。
引っ越しの日程を決めるのも、契約日から
数えて、新しいテレビが届くのに十分時間があって、
且つネット環境も引っ越しに合わせて開通できる日を
選んで設定する有様で、電話でもネットとテレビの話
しかしない私に、母はあきれていたのだった。

そして、その母が、父を引き連れて、引っ越し準備の
手伝いにやってきたのは、その日の午後。

新しいものにはめっきり弱い母だが、お掃除とか、
お料理とか、そういうタイミングになると、急に張り切りだす。

私の家にも洗剤とか掃除道具にはあるというのに、
なぜかバッグに一式詰めて実家から持ってきて、
あっという間に、旧家は母の独裁国家になってしまい、
父と私は母の家来になる。

一方。
父はこういうとき、めっぽう役に立たない。
家来としては足軽くらいのレベルだろうか。
その日も、母にスプレー缶に穴をあけるように言われると、
穴をあける道具を持ったまま、気づいた時にはいなくなって
いた。

母も私も、父が消えることには慣れているので、どうせ
どこかで煙草でも吸っているのだろうと思ってきた。

と、そのとき。
ばつん、ばつん、とどこからともなく聞こえてくる音。
あまりにも永久に続くので、母も気味が悪くなってきた
ようだ。

ちょっと、見てきてくれる?と母。

どうやら、物音は、部屋の外、ご近所さんの家のあたり
から聞こえてくる。

と、案の定。
そこにいたのは、父。

何をやっているのかと思いきや、スプレー缶に
いまだに穴を開けているのだ。

見ると、スプレー缶は穴だらけのぼっこぼこ。
乱射事件にでもあったような有様になっていた。

「だって、スプレー缶がくさいから」と父。
穴あけるとガスが出てくるんだかっら、くさいのは
あたりまえなのだが、たくさん穴があれば、早く
くさくなくなる、と父は思ったようなのだった。

父よ、ここは社宅なのだよ。
他の家の前で変なことするのはまじで
やめておくれよ。

ちなみに、その日、父がやった主な仕事は、
唯一、このスプレー缶穴あけであった。。。

次の日。

8時から9時ころ来ます、と言っていた引っ越し屋さんは、
8時を若干フライングして、7:50にやってきた。

怒涛のように荷物を運び出し、9時前には家の中が
空っぽになり、引っ越し屋さんは2tトラックで、私と
父は父の車で、新居に向かう。

新居に着いたのは、9:20頃。
日曜日の9:20といえば、ドラゴンボールが終わる、ちょうど
そういう時間である。

言っておくが、父は私の10倍くらい、テレビ&ネット中毒
である。
そしてアニメ好き。

引っ越し屋さんが荷物運び込んでいるというのに、父は
若干上の空。

だって、ドラゴンボールの次は、ワンピース、でしょ?
ドラゴンボールも好物だが、ワンピースは父の大好物
である。

そんな父を気にする様子もなく、引っ越し屋さんは淡々と
作業を進め、あっという間に家具を組み立て、段ボールを
運び込んで。。。

と、ここでトラブル。

お風呂のほうから呼ばれた私。
行ってみると、定位置についていない洗濯機。

「これ、このまま設置しちゃうと、管が潰れちゃうんですよね」

言われてみると確かに。
通常ならついている、洗濯機乗せる台がうちにはないのだった。
そんでもって、一人暮らしにしてはちょっと大きめのマイ洗濯機。
そのままドカンと置くと、下の排水管が潰れちゃうのであった。

「煉瓦とか、下に敷けば、潰れずにおけますから。」

と、洗濯機の設置方法を教えて、引っ越し屋さんは去っていく。

その状況を見た父は、んー、と排水管の飛び出ている高さを
測って、一言。

「7cmだな」

そうして、父はいそいそとリビングに戻っていく。

どうした父。そんなに急いで。

と、時計を見ると、9:55。
引っ越し屋さんも帰ったことだし、いったん旧家に戻って、
お掃除しないといけない。

というわけで母に電話し、今から帰る旨を告げ。。。

え?

電話している私の目に映ったのは、一生懸命チャンネルを
回している父。

いや、帰りますって、帰りますよ、父上。

と、合わせたチャンネルはなんとNHK。

・・・あ!

日曜の朝10時。
それは、父が世の中で一番好きなテレビ番組、
将棋トーナメントが始まる時間である。

でも、父もさすがに今から2時間将棋見る時間は
ないと判断したようだ。
すかさず、実家に電話する。

が。

でない!
と騒ぎだす父。
家にいるはずの妹が電話に出ないのだった。

将棋が録画予約できないじゃないか!
これだけで若干ご機嫌斜め。
さっきまでワンピースで結構ご機嫌だったのに。

じゃ、じゃあさ、と私は奥の手を差し出す。
身を切られる思いで。

「うちのテレビで、予約する?」

何しろ、うちのテレビは昨日届いたばかり。
私はまだほとんどテレビ使ってないし、もちろん
録画なんてまだやったこともない。

よって、うちのテレビ、記念すべき初録画番組が、
あろうことか、父の将棋番組になってしまうってことだ。

そんな私の思いを知ることもなく、父は、
「あ、それがいいや」
と言い、適当にリモコンいじくって、即座に録画開始。

がっかりした私と、ご機嫌がすっかり元に戻った父は、
それぞれの思いを抱えて旧家に戻る。

次回、引っ越しのその後。

2010年3月 3日 (水)

引っ越す理由。

実家は、本家だ。

金持ちでもないし、ちゃんとした家柄でもないが、
とにかく、ど田舎の本家だ。

それがどういうことか、というと。

連休ともなれば父の姉上、兄上の皆様が、
それぞれ気ままに、来たいタイミングでやってくるのだ。
家族連れで。

それが、計画的に、連絡があった状態で来ればまだよい。

それなのに、うちの親戚というものは、まず連絡を
よこさないでやってくる。

時には、家族でドライブして、帰ってきたら、親戚が
勝手に家にあがりこんで勝手に湯を沸かし、みんなで
お茶会をしていたことまである。

なんでそんなことを平気でするのかって。

あいつらはどうやら、あそこを、父と母と私たち3姉妹の
5人家族の家とは思っておらず、いまだに「自分の実家」
だと思い込んでいるらしいのだ。

実家に自由に帰ってきて何が悪い。

そう思って、彼らは何の反省もすることなく、連休に
やってくることもあれば、気が向かなきゃやってこない。

そしてさらには、親がそんな感じだからなのか、
その子供であるうちのいとこたちとか、その子供たちも
同様な感覚を持ってしまい、だから、お休みの日になれば、
必ずと言っていいほど、誰かしらうちの茶の間でお茶して
いるような有様である。
(子供だけうちの親に預けて夫婦でスキーに出かけるような
不届きないとこもいたりする)

それに加えて、うちら3姉妹も、いや、正確にはうちの
3姉妹の友達も、なぜか遊ぶのは私の家だった。
学校行く途中ってわけでもないのに。
(だから逆に、私は、友達の家の場所をほとんど知らない)

しまいには、母のママ友の皆様もうちでお茶を飲み、
父の友達も父と将棋をしに集まって。

だから、大盛況の日ともなると、私の家は大変なことに
なっていた。

親戚母の友達がごちゃまぜで茶の間でお茶を飲み、
父と将棋相手は縁側で将棋をたしなんで、子供たち
年代を超えて応接間でガールズトーク・・・をしようと
思ったらいとこの子供のガキどもがそこに流れ込んできて
ゲームする、みたいな。

軽く20人くらい家に集合しちゃっているのだ。

そんな大変な家に飽き飽きして東京に出てきた私であったが、
東京に来ても、ぶっちゃけこの状況は変わらなかった。

大学からえらく近いところに住居を構えてしまった私は、
終電をなくした哀れな友達たちの、格好の避難場所となり、
私が一限から授業だといってもそんなこと関係なく、
真夜中まで、いや朝まで、家でどんちゃん騒ぎ
繰り返し、隣の住人から怒られる始末。

私はあの時知った。
都会というものは、どんちゃん騒ぎをすると怒られる場所
だということを。

それが、である。

状況が変わったのは、会社に入ってからである。

なぜか一人だけ、みんなと違う社宅に入ってしまった私。
今まではJR沿いに家があったのに、私鉄しかアクセスできない
不便な場所にあるということもあり、家にあがりこむ輩が
いなくなった。

そうすると。
不思議なことに、田舎であんなに煩わしかった大所帯が
懐かしくなってくる。

幼少のころから、家に人を呼ぶ生活に慣れているので、
外に遊びに行くことを知らず、家にいても一人じゃつまんないのだ。
しかも、家で一人だと、少しづつではあるが、乱れてくる
誰にも見られないからよいのではないかと。

そんなこんなこの家に住んで7年。
少しづつ・・・が7年も続くと、それはもう、全然少しじゃない。

途中、妹が近くに住んでいるときは、ときどき妹も、
やっぱり勝手に私の家にあがりこむので、妹の模範となるべく
それなりにちゃんとしていたと自分では思っているのだが、
そんな妹もいなくなってしまい、これはもう完全にやばいと
思った。

このままでは、ずぶずぶとこの下がり調子の生活に
はまり込んでしまうと

だから決めたのだ。
引っ越すことを。

実家とか、大学のころのように、いろんな人が入れ替わり、
立ち替わり、という家にするのはもう難しいかもしれないけど、
だれかがときどき遊びに来て、どんちゃん、まではやらなくて
よいけども、みんなでご飯でも食べながら騒げるような家に
なればよい。

と思って、アパートなのに、両隣に部屋のない物件
探し当てた。
多少騒いでも怒られることのないように。

だから、だからである。
私の生活がまた下がらないように監視するためにも、
引っ越したおうちには、遊びに来てよ、という、今回は
つまるところそういう宣伝である。

料理教室途中で挫折したから大したものは作れないけども、
できる範囲でおもてなししますから。

あ。その際、おねがいだから事前に連絡だけはしてください。
うちの親戚みたいに勝手に訪ねてくることはなきように。

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