怒涛の週末その2~時間つぶしに弟子入り~
日曜の朝8:30。
昨日ラフティングで盛り上がったはずの私たちは、
なぜかものすごく低いテンションで朝食を無言で
食べていた。
別に喧嘩したとかじゃない。
昨日の夜、宿にたどり着き、軽く風呂に入って
体を温めたメンバーは、夕飯をはさんでもう一回
しっかりと風呂に入って旅館の風呂にありがちな
なんちゃらの塩を体中に塗りつけて大騒ぎし、
さらには脱衣所で顔にいろんなクリームをそれぞれに
塗りたくりながらガールズトークに花を咲かせた後、
10時くらいから宴会を始めたのだった。
最初は自己紹介でもしながらまったりと酒を飲んで
いたのだが、男性陣はそれじゃ飽き足らなかったのだろうか。
途中から、黒ひげ危機一髪なるゲームを
持ち出し、がんがん黒ひげおじさんを飛ばしまくって
飲みまくり、それでもまだ満足できなかったのか、
よく似た形のR15黒ひげおじさんを持ち出して、
ちょっと大人の罰ゲームでひとしきり騒ぎ終わった後、
最後は腹が減ったとカップラーメンを持ち出して、そこに
ウコンやらコーラやらファンタやらを混ぜ合わせて
みんなで食べる、という暴挙に出て、結局寝たのは
朝4時過ぎ。
社会人7年目にもなって、これじゃ大学の
合宿である。
社会人2年目くらいの女の子たちはそれでも
元気そうだが、7年目のおばちゃんとしては、
もう少し寝ていたい。
それでも、宿のチェックアウト時間は10:00。
昨日の夜の燦々たる祭りのあとを片づけて
出て行かないといけない。
でもさぁ、これからどうするの?
今回の旅行の予定は大きく2つ。
1日目は群馬でラフティング。
2日目は埼玉でサッカー観戦。
でも、サッカーは夕方からなので、とりあえず
午前中はやることないのだ。
しかも、私たちの寝ている間にどうやらひと雨
降ったらしく、外はどんよりとした曇り空。
それじゃあさぁ、たくみの里行こうよ。
と言い出したのは、水上経験者の幹事の方。
前回、スキーに来たときにそこで陶芸品を作って、
ちょっとおもしろかったんだそうな。
昔から美術と技術は出席点だけで生きてきた
私は、あんまり乗り気ではなかったのだけども、
外は雨なので、野外で遊ぶこともままならないわけで、
ほかに選択肢もないから、そこは大人しく幹事の
意見に従うことにした。
有無を言わさず陶芸をやらされるのかと思った
私は、たくみの里の総合案内所である道の駅で、
軽く驚愕した。
たくみの里、というのは、陶芸体験所という
わけではなく、木工細工、絵、染物、ガラス細工などを
とりあつかう工房の集合体のことだったのだ。
たくみのメニューを見ながら、どれにしようか考える。
染物とガラス、どっちがいい?
と聞かれて、私は思い出した。
そういえば、うちには花瓶がないことを。
ホワイトデーで花束貰っても、結婚式でブーケ
ゲットしても、うちには花瓶がなくて、こっそりと
私は、お料理の時に使うボールの中にお花を
飾ってしのいでいたのだ。
しかし、それではあまりにも女っ気が足りない。
そんな私の個人的な理由から、私たちは8人
揃ってガラス細工を体験することにして、
たくみの家に向かった。
ガラス細工、というからには、テレビでよく見る、
ガラスを膨らますあれかと思ったら、どうも
そんな大層なものじゃないらしかった。
たくみの家に並んでいるのは、すでに出来上がって
いると思われるグラスの数々。
私たちがやるのは、そのグラスに模様をつけること
らしい。
それぞれに、グラスと、紙に書かれている絵を
持って席に着き、グラスに絵を張り付けて、紙の
上から絵のとおりにカッターで削って行く。
あー、これ昔やったわ。
年賀状。
小学校の時にやった、版画の年賀状を思い出しながら、
地道に削って行く。
あの時は、指の位置を間違えて、彫刻刀を人差し指に
ぶっさして、そのまま絆創膏まいて公会堂の行事に
行ったっけか。
なんて昔の思い出に浸りながら、カッターを進めて
いく。
みんなも似たようなこと考えてたんだろうか。
それともただ疲れているだけなんだろうか。
たくみのおじちゃんは昨今の新型インフルによる
影響などを話しているが、みんな無言。
ただひたすらにカッターを進めていく。
そうして、45分も経った頃、私は気づいた。
簡単な絵柄を選んだはずなのに、気づけばすでに
半分以上の人、それも、私よりよほど難しい絵柄を
選んだ人たちが削り終わって、次の作業に入って
いるじゃないか。
やべ、これでは小学校のころと一緒だ。
どんくさくて何やるにも一番びりだった小学校の
頃と。
無理やりに朝顔を削り終えると、次はなにやら
粉のようなものを吹きかける作業に入る。
たくみの話によると、これは紙やすりの粉みたいな
もんで、これを吹きかけることによって、ガラスに
傷をつけているってことになるんだそうな。
ふーん。
ガラスに傷付けてるような感覚は全然ないのだが、
とりあえずたくみに言われたとおり粉を吹きかけ、
グラスを洗って出来上がり。
なんとか、クラスで一番最後になるのは免れて、
物のできはどうあれ、私は満足だった。
気づけばもうお昼。
まだまだ眠い私たちは、それでもさいたまダービーを
観戦すべく、一路埼玉にむかった。






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