気になる、ア・イ・ツ
ついに、あいつがやってきた。
いや、気づいてはいたんだ。
2週間ちょっと前から、あいつが遠くから私を
見つめているのを。
そんなあいつの存在を感じるたびに、私は
どこかこそばゆいような気持ちになって、
目を細めてみたり、鼻をつまんでみたりして、
自分をごまかしていたんだ。
でも、あいつは、私がどこにいたってじぃっと
私を熱い目線で見守っており、それは家に
いたって会社にいたって出張先にいたって
ずーっと後ろからくっついてくるんだ。
それでも、何日かは、私とあいつの距離は
確かに近いけど、密着するってほどじゃなかった。
でも、その均衡をあいつが崩したのは先週末
出張から帰って来た頃。
徹夜明け出張からボロボロになって帰った私は
全然気付かなかったんだけど、ついつい、
あいつを家にあげてしまったのだ。
そのままベッドの上に崩れるように眠った私を、
あいつはしっかりと抱きしめて一緒に眠り、
起きた時には私の首根っこにしっかりと手をまわして
いて、全然離れる様子がない。
・・・・・・・・・・・・
と、ここまで書くとなんだかちょっとセクシーな香りまで
漂ってくるが、何のことはない。
単なる花粉症の話である。
2月2週目くらいからじわじわとやってきた、
あいつこと花粉症は、先週からはっきりと
頭角を現し、一生懸命はめたくもないマスクを
会社の人にはばれないようにつけているにも
かかわらず、そのマスクガードをものともせず、
私の鼻を攻撃してくるんだ。
マスクしているのにその下から大きなくしゃみをし、
そうするとマスクの位置がずれてしまって、その
状況で呼吸をすることによりどんどんどんどん
悪い方向に。
それにしても、最初に花粉症になった年は
本当にひどかったけど、ここ2年くらいは
はっきりとした症状がでるわけでもなく、
落ち着いていたのだ。
それなのに、どうして今年はこんなひどいんだろう。
ってか、普通なら、ひどかったら、素直に薬を
飲めばいいだろうと、みんなは思うんだろう。
私が会社でくしゃみをするたびに向けられるみんなの
視線で、私だってみんながそう思っていることくらい
ちゃんと分かってる。
でも。
最近、怖いんだ。マジで。
医者に行くのも、薬飲むのも怖いんだ。
原因は、なんといってもあのウイルスさわぎに
ある。
何しろ、あのとき一番最初にかかった町医者は
毎年花粉症のときにお世話になっていた医者なのだ。
その医者でもらった薬が体に合わず、#7119に
ヘルプまで頼んだあの瞬間を、半年経った今も
私はくっきりと覚えてしまっている。
でもねぇ。
今日みたいな寒くて雨まで降った日にまで、
鼻水くしゃみ目のかゆみが止まらないこの状況を思うと、
さすがにそろそろ病院に行かないと厳しいんだろうなぁ
と思う。
仕事にも支障出てくるし。
カラオケにも支障出てくるし。
(2月は毎週行ってるけど)
それに何より、今年、大吉の「待ち人来る」春を迎えるに
あたり、新しく出会う初対面の殿方殿の前に、
どでかいマスクはめて登場するわけにいかない
じゃないか。
(スキー場じゃあるまいし)
いろんな意味で、過去のトラウマに縛られていると、
新しい出会いはやってこないんだなぁと実感したそのとき、
あいつがまた、私の鼻の下をくすぐった。
花粉よ。
私が出会いたいのは、お前じゃないんだよ。
残念ながら。
こんなところでも、需要と供給が一致しないと痛感する、
寒戻りの夜。





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