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2008年12月28日 (日)

みかんと粉チーズと食育と格差

冬のフルーツといえばみかん
日本の常識である。

それを証明する瞬間が、オフィスにて
私の机の上にみかんが配られるときである。

和歌山から会社に送られてくるそのミカンは、
私の冬の楽しみの1つである。

私はみかんを3つ机の上に積んで、
業務外になるその瞬間をうずうずと待って、
放課後の鐘がなるやいなや、休憩室に
みかんを持ってかけて行くのだった。

ガールズトークを楽しみながら、みかんの皮を
むくと、休憩室の中には甘酸っぱいあのかおりが
広がって、ああこれぞ日本の冬

だがしかし。

向い側でみかんの皮を向くガールズのしぐさが、
なんか変だ。

みかんの皮がむいた先からポロポロポロポロ落ちていく。

その様子を怪訝な様子で見る私に、ガールズは告白した。

「私、みかんの皮むけないんだよねー」

そんな日本人が存在することを、私はその瞬間初めて
知った。

「え?なにどうして?爪長いから?」

私は爪を伸ばすことができない。
昔から楽器をやっていたときの癖で、
今も手のひら側から爪の長さを見て、
爪が見えてくる長さになったところで切ってしまうのだ。
それ以上伸びると、どうもPCのキーボードタッチに
支障が出てくるような気がして仕方ない。

だから、爪が長いと、もしかして、爪が割れちゃいそうだから、
みかんのヘタの裏側のあの中心点の所に爪をぶっさすことが
できないんだろうか、と予想したのだ。

しかし、答えは予想外の方向へ。

「いや、小さい頃からもともとできないんだよね」

ええ?!

じゃあ冬はこたつで何をしていたんだ、と聞いた。
みかんの皮をむくこともせず、炬燵入って何してたんだと。

と、彼女は淡々と話し始めた。

そもそも、そのうちには炬燵もなく、だから
こたつみかんという日本の冬の定例行事も開催
されることはないのだと。

だいたい、冬だからって、みかん食べる必要ないじゃないか。
と彼女。

21世紀のこの飽食の時代に、夏だ冬だと言って、
フルーツを食べ分ける必要なんてないじゃないか。

ま、まぁねぇ。
実際問題、そういう世の中なんだけどさ。

だから、単に私の言ってるのは、感覚の問題。

小さい頃から、採れたての季節のフルーツを食べて
育ってきた。

春のいちご初夏の桃真夏のスイカとメロン初秋のブドウ
秋の梨晩秋のリンゴ、そして冬のみかん

その癖で、ひとり暮らしの今でも、その季節になると
体が勝手にそいつを欲してしまうのだ。
(大量に送ってこられても、いつも食べきれないのだけど)

でも、この感覚を育てることが、食育なんじゃなかろうかと
思う。

なんだか、強制的に、バランスの良い食事とかを
子供に教えこませようとしている感があるけど、
バランスの良い食事じゃないとなんか変だなーと
思わせる、とか、この季節になるとこれが食べたいなぁとか、
そういう感覚を小さいうちに本能の中にしみこませる、
これが本来の食育なんじゃないかと。

売ってるから、とか、金があるから、とかそういう理由で、
なんでも食べたい時に食べたいだけ食べていたら、
そういう感覚は育たない。

田舎者は交通も不便だし、雪かきも大変だし、
明らかに一般的には不利な状況に置かれているけど、
このときだけは、私は田舎者で、基本的な食育が
知らないうちにできていることに感謝した。

しかし。
田舎では食育は進んでいるかもしれないけど、
食べ物格差には唖然とさせられることがある。

田舎者は、うまいものが分からない。
うちの母は、いまだに寿司で一番うまいのは
近くの回転寿司だと思い込んでいるし、
ときどき知り合いの結婚式に出てうまいもの
食べても、食材が何であったのか、さっぱり
分かっていないことが多い。
(それはまるで、私が黒トリュフがどれだったのか分からないのと
同じように)

とある夏の休日。
暴れまわる田舎の親戚の子供たちを大人しく
させるため、私はそいつらにえさを与えることにした。
私だって腹減ったし。

その日、仕事に行った母が作り置きしておいた昼飯は、
ゆでたパスタとミートソース
しごく簡単な、でもまぁ無難な昼飯である。

早速、私はパスタを皿にとりわけ、各人のパスタに
ミートソースをかけ、「召し上がれ」

と、私はなんか足りねーなーと思って、食べ始めた
ガキどもをおいて、台所にあるものを取りに行く。

パスタにミートソースときたら、取りに行くものはもちろん、
粉チーズだ。

粉チーズを持って帰ってきて、パスタにふりかけて、
いっただっきまーす

と、口の前までパスタを持ってきた時、私は
2つの視線に気づく。

え。なにどうした?

「ねぇなにそれ?」

ん?え?もしかしてかけすぎって言いたい?
お姉ちゃんね、粉チーズだいすきなのよ。
ミートソースは当たり前なんだけど、パスタだったら、
カルボナーラにも、ペペロンチーノ相手だって、
粉チーズ大量にかけちゃうのよ。

いや、そういう目線じゃないな。
よく見ると、二人の視線は、私の傍らにある
粉チーズの容器に向けられている。

「それなーに??」

え。もしや。もしかして。。。

そう。
こいつらは知らなかったのだ。

「粉チーズ」という食材の存在を。

こんなに、このガキどもが不憫だと思った瞬間は
今までなかった。

このガキどものうちは、おじいちゃんからこいつらまで、
3世代7人家族。

大人ばかりの食卓には、もしかしたら若者向けの
粉チーズなんていう嗜好品は置かれることが
なかったんだろうか。

その後、私はガキどものパスタにも粉チーズを
ふりかけて、ガキどもは大変おいしそうに、
パスタをほおばって、そして帰って行った。

後日、親戚のうちで雨宿りをする私に、
そいつらのおばあちゃんであるところの
私の叔母は言った。

「おめはこいつらに粉チーズ教えただろ」

あ。はい。教えました。

「そんな贅沢なもの、教えんでくれや」

あのあと、家に帰ったガキどもは、おばあちゃんに
今日の出来事を報告し、言ったらしいのだ。

粉チーズ、買って、と。

曰く、このうちではミートソースのパスタもあんまり
食べる機会がないので、そんなの買っても使わないんだと。
(確かにそう話している目の前にも、ひじきの煮物だとか、
から揚げだとか、そういう昔からの伝統的な食べ物が
広がっていた)

だから、そんな使われることのない嗜好品を教えて
もらっても困るんだと。

確かに、子供のころからいいもの食べさせすぎると、
大人になってお金がないときに困るんだろうなぁとは
思う。

で、でも。
さすがに粉チーズが分からないのは、ちょっと、
厳しくないか。

これが、田舎と都会の、年寄り大家族と若者核家族の、
格差なんだろうか。

みかんと食育
粉チーズと格差

どこまでが子供に教えるべき基礎知識で、どこからが
贅沢なんだろう。

さて、そんなことを考えていたら腹が減ってきたので、
私はコンビニでパスタでも買ってくるかな。

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