252と螺鈿迷宮のフェロモン比較
「命がけの仕事をしている男性からは、
フェロモンがでてる」んだそうだ。
ためしに、スタントマンとお笑い芸人のにおいを
女子が嗅いでみる、という実験を、とあるテレビ
番組でやっていたが、その結果は一目瞭然であった。
女子たちは、胸の一部以外を隠された、
まったくどちらか分からない状況で2人のにおいを
かぎ、そして全員が、同じ男性のほうを「スタントマン」
だと言い張った。
違う、匂いというのかなんなのか、もう全然違うんだと。
こっちの人になら、「抱かれてもいい」んだと。
じゃあ。
じゃあこの映画はフェロモン出まくりなんじゃないかと、
映画のスクリーンを見ながら思った。
ボーナスをもらったこの日は全員強制的に定時退社であり、
久しぶりに平日に穏やかな気分で鑑賞した映画。
巨大台風に襲われた新橋駅に閉じ込められた
元レスキュー隊の弟とその娘を、レスキュー隊
隊長の兄と、その仲間の隊員たちが救いだす、
というストーリーであるが、そのキャストたちは、
伊藤英明、内野聖陽、山本太郎、杉本哲太など、
「屈強な男たち」を体現したような面々であり、
そんな面々がレスキュー隊という、「命がけの
仕事」をやっているところを見せつけられるわけ
だから、冒頭の理論からいくと、女子たちはこの状況に
もうメロメロになるはずであって、共演していた
香椎由宇とか桜井幸子とか、そのあたりの数少ない
女子の皆さんが間違いを起こしたというニュースが
1つもないのが不思議なくらいなのだ。
周りのフェロモンに敏感な(?)女子たちは、
私の周りでグスグスと涙を流して、すっかり
この「屈強な男子」たちにメロメロな
わけだが、私はスクリーンを見ながら、冷静に考えていた。
すみれ先生は、こういう男たちにはメロメロに
ならないんじゃないかと。
実は、この映画を鑑賞する直前まで、私はお客さんの
ところに出かけて行く電車の中でも、帰りがけに寄った
本屋の中でも、ずーっと本を読んでいたのだ。
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螺鈿迷宮 上 (角川文庫) 著者:海堂 尊 |
しかし、残念ながら、物語の最後の数ページを
読み終える前に映画が始まってしまい、私の
頭の中は、すみれ先生がどこに消えちゃったのか、
もうそれで頭がいっぱいであり、何を見ても
すみれ先生につなげてしまう、という、それはそれは、
桜宮病院で行われていた治療のように、私を
「すみれ中毒」におぼれさせていたわけであって。
すみれ先生は、最先端の終末期医療で注目を集める
碧翆院桜宮病院の「光」のような存在である。
碧翆院の心療内科で、患者の精神をケアし、不治の
病の患者たちの精神を安定させて、長生きさせる。
そんなすみれ先生が心を奪われてしまっているのは、
このお話の主人公であるところの、天馬大吉クンである。
この天馬クンは、医学部で留年を繰り返す、
落ちこぼれ医学生であり、名前に似合わず不運ばかりを
呼び寄せる「アンラッキー・トルネード」であって、しかも、
いろいろとミッションを与えられた「二重スパイ」なのだが、
そんなだめでよわっちくて不運な男性に、きれいで
攻撃的でそしてわがままで、本人曰く、「昔はろくでなしと
いくじなしにはモテた」すみれ先生が、なぜか惹かれてしまい、
そしていろんな手を使って「誘惑」する。
すみれ先生曰く、天馬君は、
「捨てられた子犬みたいに、
つい頭を撫でたくなる」ような存在なんだそうだ。
天馬クン曰く、男というのは、
「勇ましいろくでなしと腰ぬけのいくじなし」のどちらか
しかいないんだというが、252のような男たちは、
女子にどんどん言い寄ってくる、「勇ましいろくでなし」
である。
こういうのにフェロモンを感じる女子は、結構早く幸せを
つかむんだと思う。
だって、積極的に向こうから言い寄ってくるわけだから、
そこをすかさずキャッチすればいいわけだ。
でも、残念ながらすみれ先生みたいな、素晴らしい女子だけど
「ダメんずウォーカー」である場合は、
「腰ぬけのいくじなし」ばかりにフェロモンを感じて
しまうのだが、腰ぬけどもは、追いかけると逃げて行ってしまう
ものだ。
こういう、人間の昔からの原理にあてはまらず、古来からの
フェロモンに反応できなくなってしまった女子たちは、きっと
いつまでも、幸せにはなれない。
現に、すみれ先生は結局幸せにはなれないし。
と、ここまで読んで、ものすごく違和感を感じている読者が
いるんじゃなかろうか。
それって、すみれ先生の話?それとも・・・って。
そりゃそうだ。
知らなかったかもしれないけど、有名な話をすると、
私、りぼんじゃなかったら、「すみれ」って名前を付けられる
ところだったんだ。
だから、螺鈿迷宮の「わがままバイオレット」は、
いわば私の分身。
男の趣味くらい100%一緒だったからって、不思議なことは
全然ないのだ。
| 螺鈿迷宮 上 (角川文庫) 著者:海堂 尊 | |
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