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2008年11月16日 (日)

駅伝と義理と忠誠心(1)

駅伝の直前の職場のランチタイム。
話題はもちろん駅伝の話だ。

どんだけ練習してるのか、とか、
タイムはどんなもんか、とか。

そんな質問に、当事者の私たちは、
「箱根駅伝みたいに、タスキがつながるかつながらないか
微妙なところっすよ!」
とか、軽口を叩いていた。
(まぁ実際そうなんだけど)

と。
その日は下々のものと一緒にランチを食していた
(えらいほうの)部長様がぽつりとつぶやいた。

「おれも応援に行くよ!」

え。
いや、そんなですね、下々の者たちのしょぼい
イベントに、わざわざ部長様がいらっしゃっていただかなくても。

蘇る、BBQのときのあのめんどくささ

まぁでも、それは単なるランチの軽口だろうと、
その時は笑って済ませたのだ。

しかし。
本気だと気づいたのはその日の夜。
わざわざ部長様が私の机のところまで来ておっしゃるのだった。

「駅伝の案内は誰か送ってくれるの?」

え?送るの?

・・・・ああああ、、じゃああああ私がメールしておきます。。。。」

やばい。
自分で口火を切ってしまったじゃないか。

まぁでも、部長様はBBQにもいらっしゃったように、
単にイベント好きなだけなので、ちょっと
めんどくさいけど、そんなにすごい被害はないだろうと
思われた。

しかし。
その2日後の駅伝前日、事態は急変する。

前日の夜、えらい部長様と大してえらくない部長様、
そしてその下の課長様は、3人でお泊り出張に
出かけており、その日の朝に帰社したのだったが。

「おい!」

と、急に課長様に呼ばれる。

「あ。はい。」

「今度の土曜日、駅伝があるって聞いたんだけど。」

・・・知らなかったの?
ランチのときは課長様はいなかったけど、さんざん
業務中にも、みんなで着ぐるみどうするかとか、
練習の様子とか、何番目に走るのかとか、
軽口を叩いていたというのに、気付かないほうが
おかしいんじゃないのか。

そんな不審な顔をする私に、さらに課長は言うのだった。

「僕と部長とえらい部長様の分の駅伝の周知文を
印刷してもってこい」

と。

いや、駅伝の周知文たって、あれは、選手の集合場所とかの
周知なんだけど。

とりあえず急いで印刷して持っていくと、プリントを見ながら
課長はぶつぶつ呟いていた。

「こんなイベントあるの、全然メールでも流れてきてないじゃ
ないか。なんでこんなもの・・・」

なんかちょっと怒っている様子。
私たちが、駅伝に出ることを課長様に言わなかったのが
いけないんだろうか。
いや、でも、別に、駅伝は激しく自由参加なので、別に
わざわざ課長の許可をいただくほどのものじゃない。
しかも、選手選びのときとかも結構飲みの議題にあがってたり
するので、選手以外の人も、駅伝というイベントがあるらしい
ということはだいたい知っているのだ。
知らないのは、単にお前が周りに全く興味を示さないからだろう。

そして、前日にメールで周知してあるにも関わらず、
ものすごく忙しい決裁のお時間に、部長様に「明日の駅伝に
ついて」
お知らせする時間がとられる。

・・・これで入札遅れたらどう責任をとるつもりなんだ。

しかし。
プリントをわざわざ印刷させたものの、えらい部長様以外は、
その時は別に駅伝に行く気はないようだった。
単に、「部下が駅伝に出ることを、俺らはちゃんと
知ってるんだぜ」

というのを、えらい部長様にアピールしているだけ、だと思われた。

そして、駅伝当日の朝。
天気予報では雨の予定であったが、
秋晴れのなんとも素晴らしい青空。

Photo

隣の野球グラウンドではおじさま球団たちの試合が
行われており、応援団のブラスバンドもいて、なんとも
のどかな週末の雰囲気を醸し出しており、これから
走らなきゃいけないプレッシャーも忘れて、私は
久しぶりに健康的に朝食のサンドイッチを食べていた。

と、ふと左を見た私。

そこには、会社でよく見るような上司の方たち・・・
が歩いているように見えた。

いや、部課長は昨日来ないって言ってたじゃないか。
義理堅く、「応援行けなくてごめんね」っていう、
100%建前だけの薄っぺらい慰めを言い連ねたじゃないか。

だからそう、これは幻影だ。
こんなところで、幻影を見るだなんて、私、そうとう
疲れてるんじゃないか。
何かの強迫観念?

しかし。
コンビニから帰って来た友達が、私に信じられない、
というか、信じたくない事実を告げた。

「お前のところの部課長が来てるぞ!」

え?
なにそれ。え?

「いや、いるはずないじゃん。だって来ないって…」

しかし。その時である。

「おーい!おはよう!」

え?今度は幻聴?

いや、幻聴でも幻影でもない。
確かにそこにはうちの部課長様が。
課長様はわざわざお子様まで連れて、マイホームパパっぷりを
アピールしている。

こいつら。
会社行事なんて、全然興味もないくせに。

どうせ、昨日の夜、醜い応酬があったんだろう。
えらい部長様から、なんで俺は行くのにお前は来れないのか
と普通の部長様が言われて、そして、その部長様が課長様に
言うのだ。
「おれが行けてお前が行けないわけないだろう」と。

そんな場面を想像してしまったら最後、のどかな土曜の
河川敷の朝は、これで丸つぶれである。
駅伝が急に会社の業務みたいに、重苦しいものになってきた。

「・・・お、おはようございます」

営業スマイルもままならず、ひきつった笑顔でこたえる私。
呆れて笑顔を返す気にもならない。

そうして、呆れているうちに、部課長の本日のターゲットで
あるところの偉い部長様がやってきて、即座に2人は部長様の
フォローに入る。

そんな義理と忠誠心の応酬なんて見ていられない私たちは、
とりあえず彼らと距離を置くために、アップに出かけることに
した。

素晴らしい青空が、どんよりとした曇り空に見えてきた、
駅伝直前の土曜の朝の出来事。

駅伝本番はまた今度。

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コメント

ribbonさん、うまい!最高ですね。
エッセイストですよ。
時折こっそりお邪魔しておりました。
普通の部長?エライ部長?どんな顔してるんだろう?
宮仕えの面白さ!厳しさ?が
伝わってきました。

愛読者のオバさんでした。

>本屋のおばさま
毎度ご愛読ありがとうございます。

宮仕えの厳しさが分かっていただけたのならよかったです。

ちなみに、課長様が駅伝前にお帰りになった理由は、「子供が帰りたがったから」なんだそうです。

・・・用事ないじゃん。

そんなこんなでまたお時間あるときにでもお立ち寄りくださーい。

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